<   2010年 07月 ( 6 )   > この月の画像一覧

e0190619_0182514.jpg


  新緑の山影映す水鏡千々に砕きてカヌー漕ぎゆく


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■美しい水面を砕く

 若葉に彩られた山の影が四万十川の清流に映り、まるで水鏡のような風景を、若者の漕ぐカヌーがさざ波を立てやってきて、美しい水面を砕いて行ってしまった様子がとても印象深く、心に残りました。

【写真】岡村龍昇氏

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[自然文化遺産]

■カヌーの風景

a0050405_7424813.jpg


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[代表歌鑑賞]      「四万十川歌碑の除幕式」より

■杉木立に和す

  雨に濡れし碧翠石を歌友と囲み師の歌碑が放つ気を感じゐつ
  四万十川讃る歌を刻みたる青石の寂びは杉木立に和す

a0050405_7265145.jpg

除幕式&吟行詠(12.9.30)
[PR]
e0190619_5274454.jpg


  四万十川の水豊かなり海苔粗朶の緑深まり香りたちくる


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■朝夕の清冽な水の流れ

 四万十川のほとりに住み、朝夕の清冽な水の流れを眺めています。

 冬の時季は、川一面に海苔粗朶が作られ、日毎に緑が増し、よい香りがただよって来ます。

【写真】岡村龍昇氏

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[プロフィール]

大正10年生まれ。
「ハハキギ」を経て
「個性」「中村短歌」会員。
現住所:四万十市

a0050405_4561039.jpg

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[四万十川秀歌百選/大滝貞一]
e0190619_5282893.jpg

  台風の去りたる川に漁(すなど)ると舟漕ぐ老いの四肢の確かさ

 台風一過の晴れ渡った川面に、もう川漁をする舟を漕ぎ出した漁師がいる。赤銅色に焼けた筋骨は老いさえも見せずに四肢が張って・・・

  海苔養殖の時季となりたり川床に杭打つ女の軽き槌音

 いづれも、働く人への賛歌である。(大滝) 

【写真】武吉孝夫氏(「四万十川秀歌百選」より)
[PR]
e0190619_695552.jpg


  四万十川の瀬音に混じり学童の声の聞こゆる土手の夕映え


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■四万十川の支流、仁井田川

 私の育ったのは窪川町(現在は四万十町)平串というところで、正確に言えば四万十川の支流、仁井田川が身近な川でした。

 父、母、祖母、4人の姉、家族みんなが肩を寄せ合いながら暮らした日々。仁井田川には赤い鉄橋があり、土讃線の鉄道が開通した時、家族は健在だっ た。隣のうちにも、その隣にも子供が沢山いて、もらい風呂など当たり前の時代だった。

 年長の男の子にくっついて田んぼや山を駆けずり回っていたこと。隣の兄ちゃんに鮒を素手で掴むコツを教わったり、蜆採りも泳ぎも一緒でした。冷えた身体を岩の窪みに当てて一休みしたこと。そんな仲間や家族はもう何処を探してもいません。

 古くて狭い我が家でしたが、もう帰る場所はない。窪川の町はずれに住む義兄の家が実家となってもう15年が過ぎました。

 四万十川本流の土手を歩いた夏のことでした。学童の声のする夕暮、あの仁井田の川へもう一度帰りたい、あの頃へ戻りたい、そんな一瞬の気持ちがいとおしくて詠んだ歌です。(逸見)

【写真】岡村龍昇氏

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[代表歌鑑賞]      「古いノート」より

  笹薮も釣りする人も靄のなか四万十の夏白く明けゆく

a0050405_614131.jpg


 古いノートから、四万十川の歌を、何首か抜き出してみました。(逸見)

  草覆う川辺につかむ鮒の腹きらりと夏の日を反らしたり
  おかっぱの髪ゆるるさま腹這いて見ていし川の橋崩おり
  石菖藻うねる四万十の清流に足を浸して息づくわれは
  沈下橋渡れば思う野辺送りの母の遺骨のコツりと鳴りしを
  菜の花の一面に咲く河川敷ふる里の川の流れ細まる
[PR]
e0190619_323877.jpg


 夜店から抜け出してきた飴色の夕焼け背負う鼈甲蜻蛉(べっこうとんぼ)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■鼈甲蜻蛉

 四万十川には10年以上前、旅行で出かけました。足摺岬や桂浜などといっしょにトンボ自然公園(四万十市具同)を訪れ、四万十川の自然の豊かさに感銘を受けた記憶があります。

 絶滅危惧種に指定されたベッコウトンボの実物はみたことがありませんが、四万十川の夕焼けにとても似合いそうだと思い作った歌です。

 この歌は、第13回四万十川短歌大会「土佐くろしお鉄道賞」を受賞しました。(岩本)

【写真】岡村龍昇氏

e0073691_716648.jpg
【写真】夕焼けの具同富士<高森山>
 トンボ自然公園(トンボ王国)は、この具同富士の麓にあります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[蜻蛉の短歌]   「四万十川短歌大会応募作品」より

  盆送り精霊蜻蛉は確かめて四万十川の群青に舞う

a0050405_6521717.jpg
【写真】トンボ自然公園

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[自然文化遺産]

トンボ王国トンボ図鑑(「杉村光俊氏ブログ」より)

e0190619_3241650.gif 1985年よりトンボ保護区として整備を始めて以来、トンボ王国では76種のトンボが確認されています。

【写真】ベッコウトンボ

【学名】Libellula angelina
【発見難易度】★★★★★(レベル5:きわめて難しい)
【全長】40~45mm
【成虫出現期】4月上旬~6月下旬、見頃:5月上旬~5月下旬
【生息場所】池田川中流下部および支流の背丈の高い抽水植物が茂る泥深い池など。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[代表歌鑑賞]    (四万十川短歌大会(第13回)より)

 土佐くろしお鉄道賞

e0190619_325514.gif
[PR]
e0190619_19442997.jpg


  動員に飛機を造りて胸を病めば生きよと捉へし四万十の碧(あお)は


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■学徒動員

 私は、戦時、学徒動員に参加したものとして、是非皆さんに、ご理解いただきたい一首です。
 
 戦時(昭和20年1月)、半田市(知多半島)に学徒動員として、15歳で参加し、彩雲(さいうん)という飛行機を中島飛行機製作所で製作しました。半田市は前年12月、東海道一帯M8という大地震に逢い、常に余震もあり、過酷な状況の中で、私は発病しました。病気のために友人で、亡くなった人もあり、現在も忘れることはできません。

 戦争で犠牲になった人々への鎮魂の思いと、いのち、平和の尊さについて、考えつづけております。

   動員時発病せしため帰高せんと浜木綿の浜に友らと別れし

【水彩画】徳広淳也氏(大阪府・中村高校第一期卒業生)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[プロフィール]

 公立小中学校教員勤務後退職。
 「雲珠」会員。
 現住所:高知市

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[代表歌鑑賞]      「短歌雑誌・雲珠」より

  アメリカより渡り来たりて増えつづくアワダチ草の黄群たくまし
  毒持つと恐れられつつゆさゆさと黄色たくまし空地を埋めぬ

 学徒動員で病み、帰郷する時に見たのは、純白の浜木綿。

 今、四万十川の河原にも、アメリカからやってきたというセイタカアワダチ草が、たくましく育っているという・・・
a0050405_862164.jpg

[PR]
e0190619_57937.jpg


  亡き父が鰡釣りゐしはあのあたり四万十川は黄昏れてゆく


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■在りし日の父を偲んで・・・

 父は、早朝より四万十川での鰡釣りを楽しんでおりました。

 四万十川を見渡せる丘に立って、川舟で鰡釣りをしていた在りし日の父を偲んでいます。(溝渕英子・「雲珠」会員)

【写真】岡村龍昇氏

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[プロフィール]

  「雲珠」同人。
  現住所:四万十市
a0050405_6332352.jpg


[四万十川歌碑除幕式]にて

 同じ「雲珠」の縁をいただき集ひたる人みな旧知のごとくに親し

a0050405_6345085.jpg

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[自然遺産]

■汽水

a0050405_2141219.jpg

 亡父が鰡釣りをしていたあたりは河いっぱいを流れくだった淡水が、海水と交じり合うあう「汽水域」。汽水を詠んだ大滝貞一氏の歌がある。

  海に入るこの細き水塩分をいまだ持たざる蒼さに流るる

 幼い頃から現在まで、四万十川のそばに在って親しんできた私には、川水といえばその四万十川を指す。四国山地深く、不入山に源流を発した水は、途中320余の細流を含み集めて大河となり、日本で一番澄んで透明な美しい四万十川を形成する。四季折々の自然を濯ぎ映して、鮎・鮴・川蝦・鯔・鰻などの川魚を育て、196キロもの流程をくだる。もちろんこの間は淡水である。やがて流れはゆるやかに黒潮の土佐湾に流れ込むのであるが、大きく開けた河口付近は、まさに淡水と海水の交わるせめぎ合いの場所となる。(溝渕英子:「大滝貞一百歌」より)
f0126949_544597.jpg
【写真】四万十川の汽水域(河口付近)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[代表歌鑑賞]      四万十川短歌大会(第11回・18回)より

・中村市長賞
 
e0190619_58782.gif

・中村短歌会賞

e0190619_58387.gif 
[PR]
←menu