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第60首 片岡正法 (高知市)

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 ほのぼのと旭日をうけて赤鉄橋(はし)ゆけば祇園神社の鉦が響けり


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■知事と張り合う?

 短歌を詠んだことがない橋本知事(橋本大二郎前高知県知事)が、どうしたことか『四万十川百人一首』に応募するという噂を聞いた。文化人(ぶんかびと)を自称する地方公務員としては、知事と張り合う気になった次第・・・。

 さて、作品は自然への畏敬、聖なるもの、無常なるものをない交ぜにしたものです。

 朝日をうけて橋を渡る・・・といっても、色街で遊んだ朝帰りの風景詠みではなく、生きているという実感・心象をそれとなく醸し出していると思います。

 一方、「平家物語」の「祇園精舎の鐘の音」を連想させるような世の無常さも、下の句であわせて歌に盛り込んでみました。

 私にとって、またの名を「渡川」と呼ばれる四万十川は、彼岸と此岸(あの世とこの世)を厳然と隔絶するボーダーラインであって、赤鉄橋はそれをつなぐ心の表象なのです。

 赤鉄橋の東詰にある須賀神社は、通称「お祇園さん」と呼ばれて、中村市民に親しまれています。

【写真】岡村龍昇氏

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第60首 片岡正法 (高知市) _e0190619_9433141.jpg[プロフィール]

 昭和24年8月土佐市生まれ。
 昭和47年高知県庁入り。農業土木の技術者。 
 現在、専門企画員。(前職:地域支援企画員。)
 平成22年3月定年退職/予定
 NPO土佐の森・救援隊副理事長
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[文化遺産]

■お祇園さん(須賀神社)
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【写真】小谷貞広(ポンガシ屋さん/おぎおんさん前37.5)
    小谷貞広写真集「ゆく河の流れ」1980より
(この小谷氏の写真ですが、神社でありながら鳥居前に坊さんが写っているというのも面白い光景で、四万十川百人一首第60首によくマッチしています・・・ん!?)

 中村は、一条公が作った町ということで、土佐の小京都と称されている。地名に、京都に因んだものが散見されます。京町、大橋通、左岡、右山、東山・・・。

 もともと中村は、応仁の乱を逃れた京都の公家である一条教房の一族が定住し、切り開いた町だといいます。言われて見たら、土佐弁は荒々しい方言なのに対し、中村付近の幡多弁はやさしい言葉遣いです。京訛だろうか。

 「お祇園さん」も、そのような京名残のいわれがあるのだろうか?

 このようなことから、中村は土佐の小京都といわれていますが、大文字焼のような、京風情のある山焼きもあります。
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歴史・文化で地域おこしを! (四万十川の「文化の香り」編)
土佐の小京都・中村

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[代表歌鑑賞]      
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  歳月は風雪豪雨刻みけり薄くれないの沈下橋(はし)の硬肌(はだ)にも

 硬い質感のコンクリートの肌を「薄紅」と形容するところに、特有の美的感覚が表出されている。「硬肌」は柔肌に対応する、この歌人独特の創造語であろうが、それとなくたおやかな色気を感じさせる。

 なお、紅は「暮れない」に通じ、夕方の景色を詠んだものであろう。数ある沈下橋を詠んだ歌の中でも、珍奇な表現の部類に属する。(評:幡多山正太郎)

【写真】岡村龍昇氏

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[ひとくちメモ]

■橋本前高知県知事と四万十川百人一首

◆四万十川百人一首のお誘い(ブログ:「だいちゃんぜよ」より)

第60首 片岡正法 (高知市) _a0050405_613544.jpg 14日朝、メールボックスを開けてみると、「四万十川百人一首」に応募しませんかとの、お誘いのメールが届いていました。

 メールの主は、四万十川周辺で、通算5年の勤務経験を持つ方で、来年定年を迎えるのを機会に、何かと人生を楽しませてくれた、四万十川への置きみやげにしようと、「四万十川百人一首」という企画を、去年スタートさせました。

 主にはネットを通じての募集で、すでに、全国の有名無名の歌人から、60首ほどの歌が寄せられていますが、来年3月の定年という締め切りまでに、100首が揃うかどうか微妙になってきました。

 そこで、知事にも詠み手の一人として、「四万十川百人一首」に、是非とも参加してほしいと言うのが、メールの趣旨でしたが、あいにく、その手の素養が全くありませんので、とりあえず、期待をしないで待っていて下さい、と答えるしかありませんでした。
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詠み人知らず(コメント・橋本大二郎)

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 第60首目になる片岡正法氏の【四万十川百人一首】は、橋本知事のメール(ブログ)に触発されての投稿。高知県職員としては、秋元厚志氏に続いて、二人目の投稿です。百人の中で2人(知事コメントの【四万十川百人一首】で、3人となりますが・・・)というのは、割合としては多いのか、少ないのか分かりませんが、高知県庁にも、文化の香りを理解する方が居られたのには安堵です。4人目、5人目を期待します。(四万十川百人一首編集人)
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