第46首 大森 孟 (埼玉県)
四万十の清き流れはなほとほし今宵は須崎に宿をとりたり
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■冠水橋
高知県の須崎に嫁に行っている娘、孫を訪ねました。なかなかこれない四国ですので、四万十川へも行きたいと思っていたのですが、時間がとれず、思いを残したまま帰ってきました。そのときの歌です。
次回は、大きくなるであろう孫と、四万十川を是非、見にゆきたいと思っています。
夢に見るあふちの並木のはるけくて須崎に孫とひと日を暮らす
須崎よりなほ六十キロもへだつといふ四万十川に思ひを残す
まなかひに浮ぶ四国の冠水橋訪ねるいとま無く帰り来つ
宿毛より足摺岬とめぐりたる先生のことも思ひ出しぬ
四万十川では「沈下橋」というそうですが、関東では「冠水橋」といいます。昭和40年頃までは荒川に幾つもありました。今は、久慈川に2つだけ、残っているように思います。
「沈下橋」という言葉は、四万十川百人一首で知りました。音の並びがよいので、私は、冠水橋を使っています。思い出した先生とは、私の短歌の師、土屋文明先生のことです。
【水彩画】徳広淳也氏(大阪府・中村高校第一期卒業生)
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[プロフィール]
昭和10年 東京都王子区生まれ
昭和35年 東京大学文学部卒業
平成 3年 農水大臣公認森林インストラクター
平成 8年 環境庁長官登録環境カウンセラ-
平成17年 環境保全功労者等環境大臣表彰
現在 森づくり集団「里ネット」代表、
趣味の短歌は土屋文明氏の門下
■短歌のこころ
短歌を作るのに、哲学や美学を持ち込んだといって、賛美し合っている歌人たちがいる。そういう短歌を褒めそやしたり、真似る人達もいる。
私の短歌には、別段、何も持ち込んだりはしない。強いて言うならば、作品作りに「愚直」を通してきたといってよいと思う。
私は50歳を過ぎてから短歌を学んだ。短歌を五七五七七と言葉を並べればいいのだろう!と言った理解で手を染めた。
縁があって、正統派の現代短歌を継承する「アララギ」へ入会し、ここで学んだのである。新米の頃、勉強会にきませんか、と言って大河原惇行さんに声をかけられ、手ほどきを受けた。勉強会では、作品の批評、作品の良否を学び、時に、添削をして頂いた。
驚いたのは、高等学校の文学史の教科書で学び、記憶していた土屋文明先生が、なお、ご健在で、毎月アララギ東京歌会で会員の指導をなされていたことだ。
ここでも批評と添削をして頂くことが出来た。短歌のこころは、この東京歌会と上記の勉強会で学んだと言って良い。
土屋先生は、「平凡な日常生活の中の、平凡ではない部分が歌になるんですよ。」と諭すようにおっしゃられた。忘れることの出来ない貴重な御教えだ。それを信条として私は作歌を続けてきた。そこには、哲学や美学の入りこむ余地などはない。
今は、余り短歌を作ることはないが、作るときには、土屋先生の御教えを守っているつもりである。平凡な生活の中から、平凡ではなく、きらめくものを見つけて、作品にしているつもりだ。
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[ひとくちメモ]
■四万十川で行われた、バーチャル・シンポジウム『京都議定書と森林問題』
◆基調講演 講師:大森 孟氏(森林インストラクター)
演題 『森林証券制度』
・林野庁への意見
・森林証券制度の必要性(1)
・森林証券制度の必要性(2)
・森林吸収権という大儀名分
・森林証券の発行
・森林証券の格付け
・森林証券(吸収権)の売買
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◆サロン(談話室) ゲスト : 大森 孟氏
講話 『農林水産大臣への提言』
・大前提は「生物多様性の保全」
・森林ボランティア活動は幻想か?
・「森をつくる」ことは
・森林ボランティア活動の課題
・提言
(参考)
・管理しない森林は、行政が買い取りを(「放置林重加算税論」に関連して)
・放置林重加算税論(西田政雄氏)
by wakasin100s
| 2009-12-30 19:00
| 四万十川百人一首