第42首 御供平佶 (埼玉県)

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    四万十に最後に架かる沈下橋脚逞しく対岸の杜


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■テーマ・沈下橋

四万十市の歌人、市川敦子さんのお招きで、「中村市短歌大会」で「松村英一論」を、お話しました。翌日、ご主人の運転で、四万十川河口や沈下橋を初めて目にしました。

  鯨くる海にまじはる四万十の春の河口の平たくあをし

【水彩画】徳広淳也氏(大阪府・中村高校第一期卒業生)

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[プロフィール]
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昭和19年 群馬県生まれ。
日本歌人クラブ中央幹事
「国民文学」選者、編集人。
歌集『神流川』で第20回日本歌人クラブ賞受賞。
現代歌人協会会員。
歌集『河岸段丘』『冬の稲妻』ほか。
著書『短歌推敲のポイント 』。
現在、埼玉県越谷市在住。
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[代表歌鑑賞]       「現代短歌大事典」より

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  小路来て不意の寂せき年どしの金木犀の数歩のにほひ

■金木犀

通い慣れた小路に、今年の金木犀が匂う。その薫りに年々の秋の記憶がよみがえり、病後でもあった作者は、急に寂寥感を覚えたのだろう。数歩の内に花の咲く辺りも過ぎ、淡い薫りの内に漂っていた寂寥も過ぎる。意識のうえにふと浮上した感慨を巧みにとらえ、瞬時に映像化している。(古谷)

【写真】佐藤直子氏 (ブログ:「のあめも」より)

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[ひとくちメモ]

■国民文学

『私が「国民文学」に入会したのは19歳のときです。千代国一が「国民文学新人会」という若い人のグループを指導していて、そこで短歌の基本を学びました。教わったことは技術としての写生と、態度としての写実です。これは正岡子規から出発した考えです。それを徹底的にたたき込まれました。

 最近、中学校で歌を教える機会がありました。「春の日になんじゃもんじゃに雪がふる白き乙女の宿る如くに」と詠んだ生徒がいた。「僕には乙女は見えない」と反論する生徒がいた。「見える人も見えない人もいる。見えた人は恥ずかしがらずに歌え」と私は言った。

 他人から変だと言われるのを恐れて他人と同じ歌を作ったら、才能がだめになる。恐がらず遠慮せず表現する。歌は勇気の産物なのです。(御供)』

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[四万十川秀歌百選/大滝貞一]

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 川獺は水辺に棲む食肉目の獣。水をくぐり魚、蛙、蟹などを捕食する特別天然記念物。川の多い日本ではどこにも棲息し、捕った魚を岸に並べる習性から、中国古来の俗説に先祖の祭りをしているのだとされた愛嬌者も、今では絶滅の危機にあり、ここ四万十川にしか生息していないのではと注目を集める。清流の岸辺に立つと、なるほど川獺はここにしか居そうにないなと思えてくる。(大滝)
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