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第37首 大岸由起子 (土佐山田町)

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        ひき潮に真砂まろぶも透かしみて下る四万十秋まだ青し


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■四万十川を下る

 土佐山田農協のブランド商品「やっこ葱」の販売高が20億円を突破した、15・6年も前のことでした。栽培者の私は、自祝いの意味もあって、老人会の四万十川下りに参加しました。(その時の写真を同封します。)

 四万十川では、広い河口にまず驚き、大文字焼きの行われる山に、一条候を偲び、観光の投網漁に息をのみました。

 折りしも、引き潮どきで、屋形船の底のガラスを透かし真砂がコロコロとまろんでいるではありませんか。

 四万十川は早い秋、青い秋、そしていい旅を、育んでくれました。

【水彩画】徳広淳也氏(大阪府・中村高校第一期卒業生)

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【大岸さんから送っていただいた屋形船遊覧の写真は、四万十川百人一首第24首 藤井幹雄氏の歌に添えさせていただきました。】

◆藤井幹雄氏の【四万十川百人一首


 『寒暖の差の激しい早春でございます。ご返送の写真と一緒に届いた、四万十川の新鮮な青海苔は、例年より少ないよし、早速に、香りにふれられる幸せを感謝申し上げます。

 NHKテレビで、四万十川百人一首のことを拝見。歌友の市川敦子さん(四万十市)に問い合わせ、募集のパンフレットを送ってもらい詳細を知りました。

 私は、昭和3年生まれ、文明の器はすべて駄目です。パソコンは、孫が大学で、息子が古いのを持っているようですので、相談してみます。四万十川百人一首は、百名に早く達せられますよう、お祈りいたしております。(大岸)』

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[プロフィール]

 昭和3年生まれ。
 歌歴 約50年。農業の傍らの作歌。
 中央紙「青天」県内誌「温石」所属。
 歌集『野のうた』(昭和59年)

 『私の日常は、煩忙極まる。しかし、労働のみに明け暮れる人生には納得できず、きざな表現かも知れないが、心の秘境に沸く清水のごときもの、朝日にしたたる樹々の雫にも似たものへの、ある種の憧憬を捨てることができなかった。』(大岸由起子「野のうた」より)

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[代表歌鑑賞]

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  韮を束ねる指空間にあそばせて北爆停止のニュースを聴けり
                              (ベトナム戦争)

◆素材的には、農事にたずさわる生活詠が主であるが、その中に、絵画性が点綴されることによって、心象風景に迫り、深さを加えており、それと共に社会性が挿入され、歌の現代的広がりをみせている。

 社会的事象に目を向けて、何か一言いいたい土佐の女性の一面を出している。(岡林清水)
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