第20首 岡林とし枝 (四万十市)

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      水底を小石にとどく光ゆれ四万十川瀬鮎のぼりゆく


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■大切な川

 中村市(現四万十市)安並に生まれ、育ちましたが、若き日は、他郷で生活する日が多く、老いて主人と共に、故郷に帰り、四万十川の川風に、蛍飛び交う夏夜の景に、幼き日を思い出しています。大切に育ててくれた父母ですが、とくに私は祖父にかわいがれれた思い出がたくさんあります。

 その中でも、投網が趣味の、祖父に連れられて、四万十川の川原でのビク持ちの役目でした。その頃は、まだ小ボラがたくさんいて、網にかかった小ボラをはずして投げてくるのを、おっかなびっくりで掴んだことが、思い出されます。

 獲りたての小ボラで「ボラ寿し」を母が作ってくだされ、楽しい夕餉のことなど、四万十川は私にとって、米寿のこの歳になっても、昨日のように思われる大切な川です。

【写真】岡村龍昇氏

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[プロフィール]

 大正6年3月生まれ。
 高知県中村市(四万十市)安並。
 本名利枝。
 「あら草」「高知短歌芸術」

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[代表歌鑑賞]
 
  四万十の流れに佇ちし吾が影の光にゆれて鮴よぎりゆく

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『四万十川秀歌百選(大滝貞一選)に選ばれた、この歌は四万十川の河川敷で亡き主人のゲートボールの大会を応援に行ったとき、一刻を川に入り歌ったものです。

 主人への思い出にもつながり、今、詠んでも、胸せまる思いがいたします。(岡林)』

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[四万十川秀歌百選/大滝貞一]

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 この清流の渕に立っている自分の影の先を、鮴が光つつよぎってゆくのが透けて見える。

 癌告知を受けて、半年の余命を告げられた夫が、河川敷にて嬉々として、ゲートボールに興じる姿を見ての感慨とか。(大滝)
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