第1首  俵 万智 (大阪府)

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     四万十に光の粒をまきながら川面をなでる風の手のひら


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■心が鳴る・・・

 川面をなでてゆく風の手のひらは、目には見えないものですが、心には見えるものです。そして心に見えたものが、その時はじめて、歌になってゆくのではないでしょうか。

 心が鳴る、と感じるとき、その心を鳴らしているのも、目には見えない風の手のひらなのでしょう。だからできるだけたくさんの窓を開いて、風通しのいい心を持って生きていきたい、と思っています。

【写真】岡村龍昇氏

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[プロフィール]

a0050405_5134972.jpg 昭和37年12月大阪生まれ。

 早稲田大学文学部で歌人佐佐木幸綱氏の影響を受け、短歌を始める。

 佐佐木氏編集の歌誌『心の花』入会。

 卒業後、神奈川県立橋本高校で国語教諭を4年間勤める。

 平成10年、「四万十大使」に就任。


◆四万十大使に・・・

 橋本大二郎前高知県知事が委嘱した、初めての「四万十大使」に就任。

『四万十川の自然を守る活動が、高知県で進められています。私の「四万十に光の粒をまきながら川面をなでる風の手のひら」という歌が縁となって、この運動に協力させていただくことになりました。』

  蛇行する川には蛇行の理由あり急げばいいってもんじゃないよと


a0050405_4263892.jpg 俵万智氏の四万十川の歌には、「風の手のひら」のほか、寡黙な漁師が思わずも川えびの種類を教えながら、ふと作者と同齢位の娘がいることをもらしてしまう、やさしみ心の余韻が四万十川の風景の中に広がる歌など多数あります。

  川えびの種類教えてくれし漁師ふっと娘のことを話せり

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[旅路/四万十川]

 四万十川の源流点を思いおりある朝吾子に笑い生まれる

 ここに生まれ海へと育ちゆく水の四万十川という名の旅路

 沈下橋沈下してゆくさまを見つ今夜は川に抱かれて眠れ

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[代表歌鑑賞]     (「現代短歌大事典」より)
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  寄せ返す波のしぐさの優しさにいつ言われてもいいさようなら

 助詞と句またがりの巧みな用法によって、波の動きを連想させるようなリズムを作り出している。「寄せ返す波のしぐさの優しさ」と「いつ言われてもいいさようなら」の間には論理的なつながりはないにもかかわらず、両者の微妙な結びつきに詩的な説得力が感じられる。(穂村)

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[歌集]

e0190619_18255261.jpg 第一歌集「サラダ記念日」が260万部を超えるベストセラーになり、その軽妙表現の新しい感覚の短歌がブームとなる。同書で第32回現代歌人協会賞を受賞。

e0190619_18371554.jpg 第二歌集「かぜのてのひら」を出版。国語審議会、中央教育審議会などの委員を歴任。

e0190619_1843012.jpg 第三歌集「チョコレート革命」を出版。ホームページ「俵万智のチョコレートBOX」を開設。

 また、讀売新聞夕刊に小説「トリアングル」を連載。評論『愛する源氏物語』で第14回紫式部文学賞を受賞するなど、小説、評論の世界でも活躍。

<俵万智公式ページ「チョコレートBOX」より>
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